アイメッセージ

2回目に働いていた学校ではスクールカウンセラーが常駐(2名が交代制で勤務)していて、そこではカウンセラーの方と教員がこまめに連絡をとって生徒のメンタルケアに努めている体制をとっていました。

そこで働いていたときに、一人のカウンセラーの方からおしえてもらった「アイメッセージ」というのがあるので紹介していきます。

これは特に「親と子供」という人間関係で効果的な話し方ですが、ほかの人間関係、職場、友人、恋人、夫婦…などなど、ほかの関係でも通用するテクニックです。

アイメッセージのアイとは、英語の”I”、つまり主語の「私は」を表す単語です。メッセージはそのまま、メッセージですね。

私たちはつい感情的になったり、相手への配慮を欠いたりしてしまって、「ユー(You)メッセージ」を発してしまいがちです。

「(あなたは)さっさと片づけなさい」、「(あなたは)宿題をやらなきゃだめだよ」、「(あなたは)なまけたらだめでしょ」、「(あなたは)時間を守りなさい」、「(あなたは)仕事してよ」…等。そういえば自分も言っていたなぁ、と思う人も多いと思います。正直、僕も今この記事を書いていて、色々と言ってしまっているなぁと思っています。

イライラしていてつい、そんなことを言ってしまい、親子喧嘩や夫婦喧嘩、職場の人と険悪なムードになってしまうことってあると思います。

そういうときに役立つのが、「アイメッセージ」です。

たとえば、宿題をやらない子供がいるとします。「なんで宿題やらないの!やりなさい!」というのではなく、

「私は宿題をやった方がいいと思うけど、あなたはどう思う?」

と、聞いてみましょう。ここで大事なのは、必ず「私は」という主語を使い、また、相手に「どう思う?」と意見を求めることです。

私たちは一人ひとり違う人間です。「ユーメッセージ」には、「私の常識の中では宿題はやらなければいけないこと。だからあなたも私の常識に従ってやりなさい」という強制的な支配をしてしまいます。これで従う人もいますが、抑圧された感情は残り、どこかで必ず爆発してしまいます。

そうなるのを避けるために、「アイメッセージ」があります。相手の「宿題をしたくないという常識」に理解を示しつつ、自分の「宿題をしなければいけないという常識」をすり合わせていくのです。

たとえ血のつながった親子であっても、どちらかから付き合おうと言った恋人同士であっても、契約で結ばれた上司と部下であっても、等しい人間です。自分の意見も大切ですが、同じくらい相手の意見も尊重してすり合わせていくことも大事なのです。

そして、ここも重要なのですが、相手の意見や言い分も聞くことです。聞いていくことで何かしらの根本原因が見えてくるからです。ひょっとしたら、宿題をやらないことの理由は、クラスメイトに頭が悪いと馬鹿にされた経験があるかもしれないし、ひょっとしたら所属しているクラブの活動が楽しいから興味を持てないかもしれないし、もしくは勉強のやり方がわからなくて悩んでいるのかもしれないし、あるいは思春期の心身の変化でイライラしているからなのかもしれません。

相手に意見を聞くことで自分の精神も楽になります。言い争いはすぐに終わるかもしれませんが、お互いにモヤモヤを残してしまうからです。また、自分のせいで子供が宿題をやらないんだ、といったような過剰な自己批判を避けることができます。

というわけで、アイメッセージの例を挙げていきましょう。

「なんで結婚記念日を忘れるの!」→「私は結婚記念日に二人で何かお祝いをした方がいいと思うんだけど、あなたはどう思う?」

「仕事が遅い!」→「私はこの仕事を15時までに終わらせたいのだけど、あなたはどういった計画でやっていきたい?」

「我慢しなさい!」→「私はここで我慢することが大事だと思うんだけど、あなたはどう?」

「うるさいな!」→「私は今あなたが言った〇〇がちょっとわからないから、もう少しわかりやすく説明して?」

「学校に行きなさい!」→「私は学校に行ったら色々な経験ができて楽しいと思うんだけど、あなたはどう思う?」

どうでしょう。すごくマイルドな感じになったと思います。

ただこのアイメッセージ、常にやろうとするのはかなり難しいです。どんな会話もアイメッセージにしてしまうと、相手の意見を求めるので話が延々と終わらなくなってしまって会話時間がとてつもなく長くなりますし、何より常にアイメッセージに変換すると頭が疲れてしまいます。このアイメッセージを教えてくれたカウンセラーの方も、「常にやろうとすると気が狂ってしまいますよ(笑)。ここぞというときに使ってください」と言っていました。

相手と感情的にやり合ってしまったときに、ふと立ち止まって、アイメッセージに切り替える、というやり方がいいのかもしれません。

ただし、日常的にアイメッセージを使う方法もあります。これもカウンセラーの先生におしえてもらいました。

たとえば、テレビを見ているとき。何かのニュースがあったら、「私はこのニュースは〇〇だと思うけど、あなたはどう思う?」と聞くのも良いとか。食事をしたら、「私はこれがあまり好きではないけれど、あなたはどう思う?」と聞いてみたり、映画や趣味、仕事内容でもいいと思います。自分の考えを言いつつ、相手に意見を問います。思春期で難しい時期の子供と会話する時間が増えたり、どう接していいかわからない同僚と話を始める糸口になったりします。ただし、多用すると疎まれる可能性もあるため、たまに使うくらいがちょうどいいと思います。

「アイメッセージ」には、自分を大切にしつつも、相手を尊重することができる「愛(アイ)」があるのでは、と思わずにはいられませんん。

投稿者: dragaliens

30代男性。元教師。 見えない世界に興味がある。 自分を癒やす旅を続けている。

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