初夏の奈良旅 中編

前回の記事の続きです。

2日目の朝はゆっくりめな起床でしたが、電車の乗り換えの関係上、朝食時間を少し早めにしてもらっていました。というのも、この日は吉野まで行く予定でしたが、同じ奈良県内でも三輪からだと1時間30分くらいかかるからです。直線距離で考えればさほど遠くはないので、恐らく本数や乗り換えの問題かもしれません。

8時過ぎにお宿を出発。橿原神宮前駅から吉野方面の電車に乗りました。意外と乗客は多かったのですが、多くの乗客は途中の飛鳥駅で下車。吉野駅に到着する頃には1車両に2,3人くらいしか残っていませんでした。

10時ちょっと前には吉野駅に到着して、そこからロープウェイで金峯山寺の入口である黒門まで行きました。

黒門から銅の鳥居を通り、仁王門に到着。

残念ながら仁王門は現在修理作業中で通ることはできませんでしたが、あれだけ高い場所まで足場を組んだり防護ネットで覆ったりしているのを考えると、かなり立派な門なのかなぁと容易に想像できます。仁王門は蔵王堂と共に世界遺産に登録されているくらいですからね。

仁王門の脇にある坂を登って、ようやく金峯山寺蔵王堂に到着しました。

到着した時から、「あ、なんだか雰囲気が鞍馬寺に似ているな」という感じがしました。山寺は日本全国これまで数寺訪れたことがありますが、空気感というか、漂うエネルギーが、鞍馬寺のそれとすごく似ていたんです。

さっそく蔵王堂でお経を読もうと思って進んでいくと、ちょうど同じタイミングで別の上り口の方から一人の山伏さんがやってきました。見るからに修行中のような恰好をしていて、ぱっと見年齢は僕と同じくらい。とても慣れた様子でお経を読まれていました。

僕もお経を読んでいたのですが、ここで問題が。お遍路の時と同じように真言宗のお経を読んでいたんですが、そこでは最後に本尊のご真言(マントラ)を唱えるようになっているのですが、これがわからない!金峯山寺のご本尊は「金剛蔵王大権現」なのですが、勿論持っているお経には記載されておらず、しかも境内にもご真言が見当たらない(お寺によっては本尊のご真言が掲載されている看板や板がある所もある。ひょっとしたら自分が見逃していた可能性も大)。

順調に読み進めていって、般若心経を呼んでいる途中。「般若心経を読み終わった後のご真言はどの仏様のを読めばいいんだ~」と思いながら唱えていると、先ほどの山伏さんから、

「ノウマクサンマンダ・バザラダン・センダ…….」

と唱える声が聞こえてきたのです。

「あ、これって、不動明王のご真言?」とわかり、般若心経を読み終わった後に不動明王のご真言を唱えて、その後は光明真言などを唱えて無事に読経することができました。

もしかしてご真言がわからないということがテレパシーで山伏さんに伝わり、助け舟を出してくれたのかな、とか、上の存在が山伏さんを通じておしえてくれたのかな、とか、まぁ偶然かもね、と御朱印所で納経してもらっている時に思いました。でも納経してもらっている間、その山伏の方が御朱印所の受付の方に挨拶を去り際にしていたのですが、そこで一瞬その方と目が合ったのです。何かが共鳴したのかもしれません。

その後、境内を散策。そうしたらこんなものを発見しました。

曼荼羅です。本堂の前に曼荼羅(魔法陣?)。これ、鞍馬寺と似ていますよね。大きさこそ違えど、本堂前に置くという所が共通しています。ひょっとしたら日本には本堂の前に曼荼羅を置く寺院が他にもあるかもしれません(というか絶対あるはず)が、蔵王堂に来たときの雰囲気といい、曼荼羅といい、鞍馬寺とリンクする所が多いと感じました。

ただ、金峯山寺は歴史的に見ると鞍馬寺とあまり関係があるわけではないようで、元々は役行者(えんのぎょうじゃ)という修験道の開祖が開いた修行寺であり、鞍馬寺は鑑禎(鑑真の弟子)が毘沙門天を祀るために開いたお寺です。宗派も違うので共通点はないのに、なんだか繋がりがあるような気がしてなりません。ちなみに金峯山寺は金峯山修験本宗という宗派で、宗教・宗派という枠組みを超えて修験道の実践を広める宗派となっています。

その後は坂と階段をひたすら降りていき、脳天大神を目指しました。実は金峯山寺だけでなく、脳天大神も前々から行ってみたかった場所です。金峯山寺を調べていたとき、「脳天」というパワーワードに惹かれ、一度お参りしてみたいな、と思ったのがキッカケでした。

ひたすら降りていく、と簡単に書きましたが、実は金峯山寺から脳天大神までの道は人によっては大変で、永遠に続く階段をひたすら降りていき、帰りは登っていきます。後で調べてみたら445段もあるみたいです。抜け道のようなものは一切ないので、行く際には心の準備をしておいた方が良いでしょう。

脳天大神という名前から物凄い絢爛豪華なものを想像していたのですが、実際に行ってみたら凛とした空気が流れる場所でした。滝や水の音が気持ちよかったです。脳天は人間の首から上の範囲を指すので、その部分の御利益、例えば学業成就や頭や目の病気平癒に訪れる人が多いようです。

ここでお参りをして御朱印をいただいたら、なんとお供え物のゆで卵をいただきました。御朱印所の隣に休憩所があるので、そこでいただくことができます。塩とお茶はセルフサービスです。

そしてここで注意点があるのですが、御朱印帳をお寺と神社で分けている方は、脳天大神ではお寺の御朱印帳を出してください。そのことを示す注意書きが御朱印所の近くの壁に貼ってあったのですが、僕はよく見ておらず、「大神っていうくらいだから神社関係だろ」という安易な考えで神社用の御朱印帳を出してしまいました(ホント不注意ですね…)。明治以前は神仏習合で神も仏も関係がない時代もあったので、別に一緒にしたところで特に問題はないのですが、分けたい人はお寺用を出すようにしてください。

ゆで卵を食べながら思い出したのが、以前氷室奈美さんの鑑定で、金峯山寺に行きたいというお話をしたとき、氷室さんが色々と金峯山寺と脳天大神のお話をしてくれました。氷室さんは金峯山寺を始めとした吉野エリア一帯がお気に入りらしく、頻繁に訪れていると仰っていました。

そのときおしえてくださったのが、金峯山寺や脳天大神では観光客向けに護摩炊きをしているらしく、護摩炊きが終わるとゆで卵が参列者に振る舞われるという話でした。護摩炊きは日曜と特定の日に行われるので、今回は土曜日ということで護摩炊きは参加できないなぁ~、と思っていたのですが、有難いことに卵を一個いただくことができました。

卵は蛇や龍を祀る場所ではお供え物として使われるアイテムですね。三輪でも地元のお酒である三諸杉と生卵をお供えする風習があります。脳天大神は元々頭を割られた蛇を祀ったという由縁があるらしく、また、弁財天(サラスバティ)や龍といった水・滝・河の神様を祀っている場所でもあるので、卵を奉納しているようです。

卵をいただいた後は、ひたすら445段の階段を上って蔵王堂まで戻りました。445段であることに加えて傾斜もそれなりにあったので、ゆっくり登っていきました。

その後、吉野山の奥の方まで散策してもよかったのですが、歩くとなると時間がかかるのと、この日の午後は飛鳥エリアを回りたかったので断念。もし吉野山を楽しみたい方は車で回るようにすると便利かもしれません。

ロープウェイで吉野駅まで戻り、昼食後、橿原神宮前行きの電車で飛鳥駅へと向かいました。

飛鳥駅に到着後は、レンタルサイクルのお店へ。飛鳥は自転車で回ることにしました。

以前に仕事の関係で飛鳥を訪れたときは観光バスだったのですが、この辺の公共交通機関はあまり観光向きではないという話を聞きました。レンタカーにしようかと思ったのですが、一人であちこち回るということを考慮して自転車を借りました。電動機付きのやつで、一日1500円。安い。

レンタルサイクルのお店でもらった飛鳥の簡易マップを片手に、飛鳥観光に出発。ちなみに最後に自転車に乗ったのは大学生の時にバイトで通勤するために乗っていた以来なので、実に10年以上振り。久しぶりで乗れるかな、と少し不安だったのですが、身体って感覚をちゃんと覚えているものですね。すんなりとできちゃいました。

まずは高松塚古墳と併設されている壁画館へ。

展示されている壁画は模写したものですが、学生の頃教科書で見たあの絵を間近で見ることが出来て感動しました。国内外問わず、旅行に行ったときに教科書で見たものを間近でみると感慨深くなります。

高松塚古墳で驚いたのは、古墳のすぐそばに私有地の田んぼがあって、そこで地域の方々が農作業をしていたこと。てっきり古墳の区画だけ別世界な感じになっている様子をイメージしていたのですが、実際は古墳が飛鳥地域の一部として馴染んでいました。

高松塚古墳と壁画館の後は、飛鳥寺へ。知らない場所を自転車で回ることに多少の不安もありましたが、スピードを出し過ぎず、定期的に止まって地図を確認しながら乗れば全く問題ありません。

飛鳥寺は実は2回目の参拝です。以前は仕事で来たことがあるのですが、あまりじっくり参拝できなかったので、ゆっくり見たいな、と思っていました。

一般的な仏像と比べると、面長で鼻も高く、表情もアルカイックスマイル(モナリザのような微笑み方)で、どことなくギリシャ彫刻や西洋美術のような趣がある仏像です。個人的には、飛鳥寺の大仏は好きな仏像ベスト3に入るくらい好きです。

恐らく、シルクロードを渡って伝えられたからでしょう。法隆寺の柱とギリシャのパルテノン神殿の柱がどちらもエンタシスになっているように、昔は昔で技術面の国際交流があったのかもしれません。

飛鳥寺の仏像は向かって右から見るとやや険しい表情ですが、左から見ると柔らかい顔つきになっています。こういった所も計算して設計されているんでしょうね。

飛鳥寺の後は、岡寺へ。

西国三十三か所の七番目の霊場で歴史も古いお寺で、暴れていた龍を鎮めた場所がお寺の始まりになったことがら、龍蓋寺(りゅうがいじ)とも呼ばれているとのこと。

実はこのお寺は最初ノーマークで、時間調整のために軽い気持ちで訪れたのですが、お寺の雰囲気がすごくよかったです。手水舎には綺麗に蓮の花が敷き詰められていました。

ここのご本尊は如意輪観音なのですが、塑像としては国内でも最大級かつ最古のものの一つとされています。如意輪観音って身体つきがスマートな仏像が多いのですが、岡寺の如意輪観音は重量感があって圧巻でした。また岡寺は日本の厄除け寺発祥のお寺としても有名とのこと。しばらくは厄年ではないため、前厄あたりになったらまた来ようかな。

最後は石舞台古墳へ。

飛鳥寺に続き、ここを訪れるのは2回目です。

前回訪れた時もそう感じたのですが、石舞台は不思議な空気感のある場所でした。上手く表現できないのですが、「聖地」とか「パワースポット」というよりも、「異空間」という感じです。どこか別の場所にワープしたり、時間が巻き戻ったり早く過ぎたりするような気がしました。

その後はレンタルサイクルのお店まで戻って自転車を返却して、飛鳥駅から乗り継ぎをして三輪まで戻りました。

2日目もおばんざいのお店で地酒とおばんざいをいただき、宿に戻ってお風呂に浸かる。2日間連続で贅沢が出来るという幸せを感じました。

また、この日お宿に泊まりに来た男性二人組の方たちが昼間に行った酒造で買った日本酒を風呂上りに少しいただきながら、もう一組親子で泊まりに来ていた方と、女将さんも交えてしばらくリビングで雑談をしました。そして偶然にも、この日宿泊に来た全員がとある学校に所縁があるという共通点がわかり、前の日のMさんに引き続き、三輪の神様の巡り合わせを感じずにはいられませんでした。

この日の晩はすぐに床に就いたのですが、誰かに起こされた気がして午前2時くらいに目が覚めました。このお宿に来る度に不思議な現象は毎回のように起こるので「いつものことか」とは思ったのですが、今回は何もないのかなと思った矢先のことだったので、逆にその不思議な現象が嬉しく思えたりもしました。

【初夏の奈良旅 後編】へ続く。

投稿者: dragaliens

30代男性。元教師。 見えない世界に興味がある。 自分を癒やす旅を続けている。

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